阿久津昌一プロフィール
難関中学受験四科目から東大英語、東大数学、東大物理を教えるカリスマ指導者。就活指導のプロ。ファイナンスにも詳しい 株式会社PFアカデミー代表取締役。
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【子育てルール1】叱り方が上手な親になりなさい
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子どもの叱り方が下手な親が多すぎます。
叱り方にも上手い、下手があるのです。
子育てに悩む方に「どんな叱り方をしていますか?」と伺うと、ほぼ100%の確率で叱り方を間違えています。
叱るのが上手くなれば、良好な親子関係をつくりやすくなりますよ。
まずは、ここから直してみましょう。
上手い叱り方には、3つのポイントがあります。
1つ目は「ここぞ!という時だけ叱る」です。
早い話が、叱る回数を減らしましょうということです。
1日に1回以上、子どもを叱るなら多すぎです。
1週間に1回でも、まだ多いですね。
数週間に1回、1ヵ月に1回で十分。
逆に、一番下手な叱り方は、四六時中、口やかましいことです。
「あれが違う」
「これが違う」
「それは止めなさい」
「なんでこれができないの」
こんな言葉で否定され続けて育った子は、自信のない人間になってしまいます。
親との良好な関係も育めません。
だから、ちょっとしたことには目をつむり、親として「ここはしつけねば!」という時だけ叱るようにしましょう。
2つ目は、「表現力豊かに叱る」です。
インパクトのある叱り方をすれば、子どもの記憶に残ります。
「そういえば、この前同じいたずらをして、すごく怒られたな…」
また同じミスをしそうになった時、記憶が甦り、同じ失敗を繰り返す頻度が減っていきます。
だから、叱るときは子どもの記憶にインプットされるよう、全身全霊で表現しましょう。
それは絶対に間違ってる!と声で、言葉で、動作で表現します。
手を挙げてはダメですよ。
表現力が足りないから、暴力に頼るようになるんです。
親は役者でなくてはなりません。
映画、ドラマ、劇を見て、表現力を学びましょう。
3つ目は、「隙のない理屈で叱る」です。
叱る時は、子どもが反論できない論理性がないといけません。
「だって」「でも」とカンタンに反旗を翻されるようでは甘いのです。
怒られている時も、怒られた後も、何度、子どもが思い返しても「お母さんの言ってることは正しいな。怒られても仕方ないな」と思える完璧な論理性があれば、素直に謝るシーンが増えるかもしれませんよ。
いきなり3つのポイントを実行する自信がないという方は、「ここぞ!という時だけ叱る」「表現力豊かに叱る」からチャレンジしてみてください。
それだけでも子どもとの関係が大きく変わることを実感するはずです。
あと、子どもを叱るのは18歳までですよ。
高校を卒業する年齢になったら、お互い対等な大人です。
親といえども、あれこれ注意する権利はありません。
「18歳までに叱る回数ゼロ」を目指して、中学生、高校生と叱る頻度を減らしていきましょう。
【子育てルール2】空いている時間をすべて子育てに注ぎなさい
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あなたに伺いたいことがあります。
空いてる時間をすべて子どもに費やしていますか?
時間を浪費してませんか?
お父さん。
もし、飲み会に頻繁に参加してるなら、今すぐ減らしましょう。
お母さん。
もし、過度なショッピングなどをしてるなら、今すぐやめましょう。
あなたの内面を高めたり、磨いたりする時間は必要です。
でも、ダラダラ遊んでる時間はありませんよ。
一緒に勉強をする。一緒にいろいろ体験する。学校であった出来事を話す。
親として、やることはいくらでもありますね。
何ごともそう。
全力を尽くさず、良い結果が出ることはありません。
少しでもヒマがあるなら、子育てに時間を使ってください。
子どもとただ一緒にいるだけでなく、しっかり向き合うことが大切です。
子育ては、本当にやりがいのあることです。
それができるあなたは幸せですよ。
そんな風に言うと、「子育てにそこまでやりがいを感じない」と反論される方がたまにいます。
そういう方には、「人生の最終的な目的を考えてみましょう」とお話ししています。
私が考える「人生の最終的な目的」は3つです。
これ以外に人生の目的はありません。
1つ目の目的は、「人のために生きる」です。
これは、ボランティアや仕事を通して社会の役に立つことです。
2つ目は、「真理の追究」です。
それぞれみんな興味がある分野や、好きな分野があります。その世界を極めようとすることです。
そして、3つ目は「愛する人のために生きる」です。
愛する人とは、妻や夫、子どものことです。
子育てはこの3つ目にあてはまります。
子育てとは、人生の最終的な目的になるくらい、尊く素晴らしいことなんです。
子育てを通してあなたは未来を創っているのです。
そう考えれば、やりがいのあることだと感じられるはずです。
でも、これってキレイごとではないか?とギモンに思う方もいるでしょう。
人生の目的は、お金を稼いだり、資産を残したりすることではないか?
たしかにお金はある方が良いですね。
でも、お金には際限がありません。
1000万円貯金があったら、1億円欲しいと思います。
1億円貯金があったら、100億円欲しいと思います。
もっと!もっと!もっと!
この「もっと欲しい!」というスパイラルを止めるには、毎月の貯金額を設定することです。
リタイヤしたい年齢。
リタイヤ後に必要な金額。
それまで残っている時間。
これらを整理すれば、「毎月、必要な貯金額」が割り出されます。
この金額以上は欲しがらないことです。(ただしその貯金額は絶対に達成する。)
そうすれば、お金とのつきあいが楽になります。
楽になった分、人生の最終目的である子育てに集中しましょう。力を注ぎましょう。
【子育てルール3】嫉妬とのつきあい方を教えてあげなさい
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嫉妬には、「良い嫉妬」と「悪い嫉妬」の2種類があります。
このことを親がきちんと理解して教えてあげると、子どもがムダなエネルギーを使わずに済みます。生きやすくなります。
まずは、「良い嫉妬」の方から見ていきましょう。
塾の生徒たちに「良い嫉妬」の意識を植えつけるために、「YDKはKYGだよ!!」といつも話しています。
「YDKはKYGだよ!!」の前半の「YDK」は、有名なCMで使われているキーワードですね。
意味は、「YDK=やればできる子」です。
私は、そこに「KYG」を加えて、別のメッセージに変換しています。
後半のローマ字「KYG」は3つの意味の頭文字です。
K くやしい
Y やばい
G がんばる
人は周囲と自分を比べて「くやしい、やばい」と思うから「がんばる」ようになります。
例えば、定期テスト直前になって、「周囲と比べて悪い点をとりたくない!やばい!」と夜遅くまで勉強した経験を皆さんお持ちでしょう。
もし、ここで周囲との比較がなかったら、眠い目をこすりながらがんばれません。
また、浪人生は「去年の受験に落ちてくやしい!もう落ちたくない!」と思って、前回よりも真剣にがんばります。
こういった周囲との比較は生きる上でのエネルギーになります。向上心につながります。
一方の「悪い嫉妬」は、人をうらやむだけの嫉妬です。
自分よりも勉強できなかった近所の子が有名な学校に入った。ムカツク!
なんで、もっと頭が良くて美人に生んでくれなかったの。イラつく!
塾の生徒たちには、このような嫉妬をしないよう「もうちょっと美人だったら…は隣の精子だよ」と教えています。
約3億個の精子のうち、運の良いたった1個の精子が受精したから今、君がここにいるわけだよね。
隣の精子が受精したら美人だったかもしれないけど、違う人だよね。
ということは君自身が存在しないということだよね。
だから、人をうらやむだけの嫉妬は意味がないと教えています。
嫉妬でムダなエネルギーを費やせば、本来やるべきことができません。
向上心が湧かず、成長せず、人生がどんどん悪い方向に行きます。
あの人のように頭は良くないかもしれない。でも、できる範囲内でがんばろう。
あの人のように美人ではないかもしれない。その分、内面を高めよう。
そんな風な発想が自然にできるよう、「YDKはKYGだよ!」「うらやむだけの嫉妬は意味がないよ!」と日頃から子どもに話してあげてください。
【子育てルール4】真の知性を子どもに与えなさい
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今の子どもたちの前には、本当に厳しい時代が待っています。
10年後、20年後の近い将来。
彼らが大人になった時、今の日本とはまったく違う環境になっています。
まずは、この現実をしっかり見てください。
そうでないと、子育ての根本を間違ってしまいますよ。
厳しい環境になってしまう原因は、「人口減少社会」です。
これは最近、いろんなメディアで取り上げられているのでご存じの方も多いでしょう。
2017年の日本の人口は、約1億2653万人です。
それが約50年後の2065年には約8800万人にまで減少します。
たった約50年の間に、急激に約4600万人もの人口が減るんですよ!
そして、100年後、200年後にはさらに人口が減っていきます(※)。
この人口減少により、国内の消費者が減り、景気が落ち込みます。
優秀な人材が減り、技術大国の地位が揺らぎます。
田舎も都会も高齢者であふれ、空き家だらけになります。
良い大学に入る以前に、こういった厳しい時代を生き抜くための「真の知性」を私たちは子どもに与えなければなりません。
では、具体的に「真の知性」とは何なのでしょうか?
「真の知性」を構成する要素は、「文学的素養」と「論理性」です。
このどちらかが欠けても「真の知性」にはなりません。
「文学的素養」とは、人間の心の機微を理解したり、相手の気持ちを想像する能力です。
これはしっかり国語を勉強し、優れた文学を読むことで培われます。
厳しい環境を乗り切るのに文学?国語?と不思議に思う方も多いでしょう。
「文学的素養」によって、相手の気持ちや傷みが分かる人になれば、周囲から信頼される人になります。
それにより、周囲と力を合わせることで苦難を突破できる可能性が高まります。
周囲を蹴落として自分だけが勝つという発想はもう通用しません。
一人の力ではどうにもならないほど厳しい時代が待っています。
もうひとつの「論理性」は、ものごとを理路整然と組み立てる能力です。
算数、数学、物理を勉強することで培われます。
「論理性」によって、新しい仕組みを生み出したり、ものごとを効率化する方法を発見できます。
この2つが合わさることにより、どんな難局でも突破できる「真の知性」になります。
これまでの時代は、「文系」「理系」という概念が高校や大学で勉強する時のベースでした。
しかし、これからは勉強のための勉強は不要です。
理系が就職に有利だからと算数や数学ばかりやらせるのはナンセンスです。
勉強だけできる人間を育てても、厳しい環境にはまったく通用しません。
文系も理系もバランスよく勉強させて「真の知性」を備えた人間に育ててあげてください。
そうすれば厳しい環境でも、やりがいのある仕事を見つけたり、幸せな人生をおくったりする可能性が高まります。
※参照 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2017年)
【子育てルール5】自分の考えだけを話しなさい
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「私の話をちっとも聞いてくれません」
「私が何か言うと反抗ばかり」
子どもと上手くコミュニケーションがとれない、と悩む親御さんはかなりいます。
コミュニケーションがとれなければ、子育てはできません。
ただ時間が経つだけで、親子の絆はつくれないままでしょう。
とくに思春期にさしかかった子を持つ方が、深刻に悩んでいるようです。
そういった方は「反抗期なので仕方ないかもしれませんが…」と言うことが多いですが、これは親の言い訳です。
なぜ、子どもがあなたの話に耳を貸さないのでしょう?
原因は反抗期ではありません。
厳しい言い方かもしれませんが、「あなたの話がくだらないこと」に問題があるのです。
親がくだらないことをベラベラ話すことにウンザリしてる。
大好きな親のことを大嫌いになりたくない。
だから、耳をふさぐのです。
あの偉い先生がこう言ってた。
テレビや本にこう書いてあった。
あなたの友達のあの子はすごいわね。
逆の立場になってみてください。こんなくだらない話、誰が聞きたいと思いますか?
あなた自身がどう考えているかが重要なのです。
正直なあなたの言葉を子どもは求めているのです。
それを子どもでも理解できるよう、思考錯誤しながら話して、やっと子どもに伝わります。
自分がどう思うか、なぜそう思うかを子どもに話してあげてください。
子どもには親の言葉が必要なんです。
特に、子どもが困ったときは親の言葉が重要です。
子どもは親の言葉に救いを求めます。
そんな時に「あの先生がこう言ってた」なんて人の考えを話したら、子どもはあなたに失望しますよ。
あなたの正直な意見を話してあげてください。
一言一言真剣に考えて話せば、たいていの場合、子どもに伝わるものですよ。
【子育てルール6】就活の本質を教えてあげなさい
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子育てのルール6でお話しすることは、高校生や大学生の子どものいる親御さん向けの内容です。
幼児の親御さんは直接関係ないかもしれませんが、子どもの将来のために記憶にとどめておいて下さいね。
ほとんどの親が、子どもに勉強をさせたい、子どもの成績をあげたいと言います。
では、なんのために勉強をさせたいのですか?
と問うとほとんどの親が「良い大学に入るため」と言います。
では、なんのために良い大学に入りたいのですか?
と問うと「良い企業に入るため」と言います。
しかし現実は、一流大学の学生ですら有名企業に入れるのはごく一部です。
一流大学に入ることは、待遇が良くてステイタスのある会社に入るチケットではないのです。
この現実を知らないと、親子でムダな労力とお金を費やすことになってしまいますよ。
どれくらいの大学生が有名企業に入社できるかご存じですか?
2018年卒の大学生に対する、従業員5000人以上の企業の求人倍率はわずか0.39倍しかありません(リクルートワークス調べ)。
売り手市場と言われる時でも、相当な狭き門です。
一流大学に入れたから、有名企業に入れるほど世の中カンタンではないのです。
過去のデータによると、慶応大学を卒業後に大学院へ進学した人を除いた実就職率は46.9%にとどまっています。
つまり、慶応大学の学生でさえ、有名企業に入れるのは半分もいないのです。
慶応はまだマシな方で、東大の実就職率は27%、早稲田37.4%と他大学だとさらに低くなります。
だからといって、「一流大学に入るのは無意味」ということではありません。
一流大学に入らなかったら、有名企業に入れる可能性はさらに低くなります。
私がお伝えしたいことは、有名企業にこだわるのであれば、親として就活対策もフォローしてあげてください、ということです。
勉強を頑張れ!一流大学に入れ!とあおっておいて、就活は知らないでは無責任すぎます。
細かい就活対策はたくさんありますが、一番重要なのは「正しい嘘をつける能力」です。
例えば、就活でよくある面接に「なぜ弊社を志望されますか?」という質問があります。
本音で言えば、志望動機は「ステイタスがあるし、給料も良いから」となるでしょう。
その質問をしている面接官自身、「みんなに凄いと言われたいからこの会社に入った」はずなのに、面接でそんなことを言ったら間違いなく落とされます。
「社会貢献度の高い御社の〇〇の事業に惹かれるから」
「海外展開されている戦略に可能性を感じる」
こんな風にそつなく嘘をついた学生が採用されます。
就活では何十もの質問で「正しい嘘をつける能力」をチェックしているのです。
なぜなら、「正しい嘘をつける能力」がビジネスマンには必須だからです。
体裁をとりつくろって利益を上げることに貢献することが「使えるビジネスマン」の条件です。(生命保険や投資信託の手数料率の高さを考えてください。)
就活では、この「使えるビジネスマン」予備軍を探しているのです。
私自身は、このような考え方は好きではありませんが、これが現実です。(正直な会社もわずかながらあります。)
農業を生業にしたり、自分で起業したりといった選択をすれば「正直に生きる」ことも可能かもしれませんが、一般的なビジネスの世界で生きるなら「正しい嘘をつける能力」が何より求められます。
ガリガリ受験勉強だけを素直にしてきた子は、この現実を分かっていません。
筆記試験は突破できても、面接で本音を言ってしまい「ビジネスマンとしては使えないな」と判断されてしまいます。
だから、そうならないよう「就活では正しく嘘をつける能力を試されている」と子どもにしっかり教える必要があるのです。
その際には、一方的に伝えるのではなく、「就活の本質」(ビジネスの本質、資本主義の本質といっても良いかもしれませんが)をテーマに親子で議論するのが望ましいでしょう。
あなたのこれまでの体験を交えながら、
●「正しい嘘」と「悪い嘘」の違いはなにか
● 会社における「ウソ」とはなにか
●「正直な人生(農家など)」も選択できる
などについて話し合ってみてください。
ここであなたが伝えたこと、親子で議論したことは、就活に役立つだけでなく、子どものこれからの人生の糧になるはずです。
【子育てルール7】誰かに依存するのは、やめなさい
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ここまでお話ししてきた子育てのルールはどれも大事です。
でも、この心構えが欠けていたら何も始まりませんよ。親としてとっても大事なことです。
だから、ここでは少し口調が強くなってしまいます。許してくださいね。
人に依存するのは、やめなさい。
育児において、誰かが何とかしてくれる、誰かが助けてくれるという甘えを捨てなさい。
学校の先生が何とかしてくれる、塾が何とかしてくれるという甘えを捨てなさい。
子どもを育てるのは、あなたです。
育児の主役は、あなたです。
学校や塾は脇役なんです。
自分自身の頭で考えなさい。必死に考えて、試行錯誤しなさい。
えらい先生が言ってるからと話をうのみにするのでなく、子どもをせいいっぱい見つめて、何をしてあげたらいいか、どうやって愛してあげたらいいか悩みなさい。
子どもは一人ひとり違うんです。
ある子どもに有効なことでも、他の子には効果がないというのが普通です。
こんな風に子育てをすればいいという法則はありません。
それなのに、育児はこうすべきと言い切る人はおかしいでしょう。
にも関わらず、世の中はそんな情報であふれています。
テレビなどで育児の法則を偉そうに話すような評論家は嘘つきと言っても、言い過ぎではないでしょう。
そんな人たちのことを信用してはなりません。
自分の頭で考えるのは苦しいことです。
だからこそ、育児はやりがいがあります。あなたを成長させてくれます。